ドバイショックの影響は長続きしなかった。
前週に84円台まで急落したドル円の動きに日銀が対応、
1日には臨時会合を開催して新たな金融緩和策が発表された。
また、政府による追加景気刺激策への期待も強まり、
日経平均は1万円台を回復、円安の流れとなった。
一方、米国はベージュブックで景気の回復傾向が示されたものの、
バーナンキFRB議長が低金利の長期化を示唆したことでドル売り圧力が継続した。
ユーロ圏に関しては、ECBは来年のユーロ圏成長予想を引き上げ、
トリシェECB総裁からは非伝統的措置の段階的解除の方向性が示された。
市場は出口戦略の糸口としてユーロ買いを強める場面もあった。
米雇用統計はポジティブサプライズとなり、ドル買い戻しが強まった。
東京市場、序盤はリスク選好的な動きで始まった。
UAE中銀がドバイ政府系持ち株会社ドバイ・ワールドの
デフォルト(債務不履行)の可能性に伴い、損失に直面するUAEの銀行と
国内の外銀の支援を表明したことで、ドバイ問題に対する懸念が一旦緩んでいる。
ただ、終盤になって、ドバイ・ワールドの系列不動産開発会社である
ナヒールがナスダック・ドバイに上場している3本のイスラム債の
売買停止を要請していると伝わると、再びリスク回避的な雰囲気も強まり、
ユーロ円や豪ドル円は序盤の上げ幅を失う格好になった。
ドル円は86円台後半から前半へと低下、ユーロ円は一時130円台後半まで
上昇したが、129円台半ばに反落、豪ドル円も79円台後半から79円割れまでの
往来相場だった。
ロンドン市場は、神経質な相場展開だった。
日本株やアジア株がドバイ・ショックから立ち直り、反発の動きを強めたが、
欧州株は軟調に推移している。ドバイ・ワールドへの投資額が大きい英欧州
金融機関への不安は払拭できない状況だった。
ドバイ株式市場やアブダビ株式市場が7-8%と大幅安だったも重石となった。
欧州通貨、特にポンドに売り圧力が強まり、ポンドドルは1.65台後半から
1.64台後半へと下落した。ユーロドルは1.50台後半から前半へとじり安の動きだった。
ただ、方向性は一定せず、神経質な振幅を伴っていた。
ドル円は欧州株安に伴って円買い圧力が働き、一時86円を割り込んだ。
しかし、すぐに86円台へと買い戻される動き。
そして、菅国家戦略相が介入を示唆する発言を行うと一気に50ポイント上伸する場面もあった。
ただ、全般にクロス円の上値は重くユーロ円は160円近辺、ポンド円は142円台前半へと沈んだ。
ロンドン中盤にかけては値動きが鈍っていった。
NY市場では、
ドルや円が買われる場面もあったが、方向感はつかず。
米株式市場が冴えなかった上、ドバイの信用懸念も払拭されておらず、
リスク回避的な側面から欧州通貨中心にドルが強含んだ。
ロンドンフィックスにかけて、ポンド売りや円買いフローも見られた。
ポンドドルはNY序盤から一時100ポイント程度下落。
ただ、米主要株価指数が下げ渋ると円高とドル高の動きは反転した。
豪ドルは豪中銀金利発表を控えて小動きだった。
NY原油が急伸する場面もあったが、カナダは対ドルで方向感無く推移した。
この日発表された11月米シカゴ購買部協会景気指数は市場予想に反して上昇した。
本指数の内訳では、新規受注は前回(10月)の61.4から62.8へ上昇した。
雇用指数は41.9に上昇し08年10月以来に40台を回復。
一方で、生産指数は前回(10月)の 63.9から57.6へ低下した。
ユーロドルは1.50周辺で、ポンドドルは1.64台前半での上下動。
ドル円は一時86円近辺に下落した。
(1日)
東京市場は、円が全面安となった。
日銀が11時ごろ、 1日午後2時から臨時の金融政策決定会合を開催すると発表したことが材料。
臨時会合の開催理由は、最近の金融経済情勢の動向を踏まえ、必要な金融調節事項の検討を行うため。
臨時会合で量的緩和など追加緩和策が議論されるとの見方が浮上し、為替市場では円売りが加速した。
ドル円は直近のレジスタンスとなっていた87円を突破し、
87.50レベルまで上昇した。クロス円はドル円に連れ高となり、
ユーロ円は129円台半ばから131円台前半、
ポンド円は141円台後半から143円台後半まで上昇した。
追加緩和期待で円金利は急低下し、日本株は買い戻しが進んだ。
藤井財務相は1日、政府と日銀は経済認識を共有すべき、
量的緩和になれば経済効果があると、デフレ脱却・円高是正に向けた
政策協調の重要性を訴えていた。
また、豪中銀理事会では0.25%の利上げが決定された。
利上げは3ヶ月連続、政策金利は3.50%から3.75%に引き上げられた。
市場予想通りの結果だったが、金利発表後は瞬間的に豪ドル売りが進んだ。
豪ドル/ドルは0.9170レベルから一時0.9120レベルまで下落した。
ロンドン市場は、日銀臨時会合に関心が集まった。
日銀は0.1%で期間3ヶ月の資金を10兆円供給する新しい資金供給手段を発表したが、ドル円は87円台半ばの高値水準から86円台後半へと下落した。
市場では失望感もあったようだ。市場には国債買取などの量的緩和の強い施策を期待する動きが広がっていた。
欧州株はドバイショックから立ち直って上昇、英銀行株の堅調な動きが目立った。
米ダウ平均先物も上げ幅を拡大した。商品市況では金先物が一時 1200ドル台乗せと最高値を更新した。
リスクマネーの動きが活発化したことで、為替市場ではドル売りが強まった。
ドバイショックの影響が大きかったポンドの反発が目立ち、
ポンドドルは1.64近辺から1.65台へと大きく値を上げた。
ユーロドルは1.50台後半、豪ドル/ドルも0.92台へと高値をつけた。
一方、クロス円は振幅後に上昇に転じた。序盤はドル円の下げに伴って下落したものの、欧州株が上昇してからはリスク選好の動きに沿って買い戻されている。
特に、ポンド円は142円台前半から144円台前半へ上昇と強かった。
ユーロ円は130円台前半から131円近辺での上下動だった。豪ドル円は79 円台前半へと下落した後、80円台乗せと高値を更新した。
NY市場では、ドル売りが進んだ。
NY金先物が最高値を塗り変え1200ドル台に乗せたほか、ダウ平均が100ドル超上げて年初来高値を更新、リスク選好パターンの動きが強まった。ユーロドルは1.60台半ばから1.51台乗せまでしっかりと推移した。米中古住宅販売成約指数は前月比が予想外に上昇した。
米ISM製造業景気指数は市場予想を下回ったものの、景気判断の分岐点である50台は維持した。両経済指標は同時刻に発表され、強弱ミックスだったものの、発表直後は米主要株価指数が上げ幅をやや削ったことで円買いの反応も見られた。
ドル円は86円台半ばまで押し戻され、上値の重い展開を続けた。クロス円はこう着、ユーロ円は130円台後半の取引だった。
(2日)
東京市場は円売りが優勢だった。ドル円は87円台前半まで買われ、早朝の水準から60銭近く上昇した。クロス円も堅調だった。ユーロ円は131円台半ば、ポンド円は144円台後半、豪ドル円は80円台後半まで買われ、前日の高値を突破した。
日経平均は反落して始まったが、取引開始直後に下げ渋るなど売りは限定的だった。アジア株は1日のダウ平均が大幅続伸したことで全面高となった。
金融市場はドバイ・ショックから立ち直りつつある。
リスク投資再開の兆しが芽生えつつある中、円買い圧力は後退している。英フィナンシャル・タイムズが、関係筋の話として、ドバイ・ワールドの債務再編で英大手銀と地元金融機関が委員会を設立したと報じた。豪上院は、政府が提出した温暖化対策法案を否決した。
ただ、いずれのニュースも為替市場の反応はみられず。
ロンドン市場は、円安およびポンド高の動きが中心となった。
円安のきっかけとなったのが鳩山首相の、円独歩高は放置できない、との発言。
ドル円は東京市場から上昇傾向をみせていたが、87.40近辺まで一段高となった。
欧州株が、取引序盤に前日終値近辺での揉み合いとなったこともリスク回避色を弱めていた。ユーロドルやポンドドルは、金相場が最高値を更新、ドル売り圧力となった。
市場ではユーロ売りポンド買いの大口取引の観測がでていた。
デール英中銀委員が英国経済のインフレを警戒する発言があったこともポンド高の材料だった。
ポンドドルは1.65台半ばから1.67台手前まで上伸、ポンド円は144円台前半から145円台後半まで買われた。
ユーロも対円では買われ、131円台前半から後半へと上昇する動きをみせた。ユーロドルは 1.5065-1.5110レンジでの振幅だった。
NY市場にかけてドル円は87円台半ばの水準がカベとなり上昇力が鈍った。米ADP雇用者数は16.9万人減と予想ほどは改善しなかったが反応は限定された。
NY市場では、ドル買い戻しが優勢だった。
この日の米週間在庫統計発表後に原油が軟調に推移すると、全般的にドル高の動きとなった。ラッカー・リッチモンド連銀総裁が金融引き締めに前向きな発言を続けたこともドルショートカバーを後押し。
一方、米ベージュブックでは、前回の報告から経済状況が小幅改善したとの認識が示された。年内はFOMCでの投票権のあるリッチモンド連銀総裁が「インフレ対策についてFRBは一部の根強い弱さで躊躇してはならない」、「我々が実質金利の引き上げを必要としていることは明らか」、「調査に基づいたインフレ期待よりもマーケットに重きを置いている」、などと述べた。
ドル円は87円近辺から87円半ばでの揉み合い。
ユーロドルは1.51手前から1.50台前半へと下落した。
ドルカナダは1.04台前半から1.05台乗せへと上昇した。
(3日)
東京市場は、円安が進んだ。
早朝の取引でドル円が1日の高値87.53レベルを突破すると、ストップを巻き込む形で円売りが広がった。ドル円は昼過ぎに87.90台まで買われ、11月25日以来となる88円台に接近した。ユーロ円は131円台半ばから132円台半ば、ポンド円は145円台前半から146円台半ばまで上昇した。
時間外取引でNY金先物が史上最高値を更新、日経平均が大幅続伸するなどリスク選好の流れが円売りを後押ししていた。
バンカメが公的資金の返済を発表するなど米金融不安の緩和も円売りの手掛かりとされた。ただ、東京市場終盤に入ると輸出企業の売りやポジション調整に押され、ドル円、クロス円の上昇はやや失速した。
豪小売売上高は2ヶ月ぶりの上昇だったが、予想通りの結果に豪ドル独自の反応はみられなかった。
ロンドン市場は上下に振幅する神経質な展開だった。序盤は日本株やアジア株の堅調な動きを受けてリスク選好的な動きが強まった。各通貨でドル売りが先行し、クロス円も上昇した。
しかし、欧州株は上昇して始まったものの次第に上げ幅を縮小し、ドルが買い戻される通貨が目立った。ドル円は87円台後半で底堅推移も一気に88円は乗せられず。
ユーロドルは1.50台後半から1.51台に乗せたが、売りも厚く、1.51台前半での揉み合いになった。
クロス円は東京市場からの上昇を維持し、高値水準での揉み合いが続いた。
商品市況は原油・金先物が前日比プラス圏を維持しながらも、ロンドンではやや上値が重かった。
ECBは予想通り政策金利を0.1%に据え置いた。
NY市場では、ドル買い戻しが優勢だった。この日の会見でトリシェECB総裁がドル高を支持する発言を行ったほか、米ISM非製造業景気指数が市場予想を下回ったことで、一時的にリスク回避的な反応も見られた。
その後、4日の米雇用統計の発表を控えて売買見送りムードも強かったが、米株式市場が引け近くに崩れるとドル買いが強まった。
この日発表された米新規失業保険申請件数は市場予想の48.0万件に対して45.7万件と改善傾向がみられた。米ISM非製造業景気指数は51.5への上昇が予想されていたものの、市場予想に反して48.7へ低下した。
トリシェECB総裁は理事会後の会見で、流動性供給など非伝統的措置の縮小を発表した。
1年物資金供給は今月で最後となることを確認している。
ただ、現時点では金利について何もシグナルを出さないことが非常に重要、とも語った。ユーロドルは一時1.5140レベルまで上昇したが、1.50台後半へと押し戻された。
ドル円は88.50レベルを越えられず、反落したが88円台前半での揉み合いに落ち着いた。
(4日)
東京市場は、ポジション調整が中心だった。きょう発表される11月の米雇用統計を見極めたいとの見方が強く、値動きは限られた。ドル円、クロス円は早朝の下げを経て、揉み合いに転じた。
ドル円は 88円台前半、ユーロ円は132円台後半で推移した。
日経平均は10月30日以来の1万円台を回復したが、前日終値を挟んで揉み合うなど力強さに欠けた。
商品相場やアジア株も軟調で、リスク投資は全般に手控え気味となっていた。
ロンドン市場は、ポンド買いが中心だった。
ポンドドルは1.65台前半から1.66台後半へ、ポンド円は145円台後半から147円乗せへと上昇した。
大口フローの観測があったが背景となる材料は見出せなかった。
ユーロポンドはきょうは下落。ドル円は88円台前半での揉み合いが続いた。
クロス円もポンド円やカナダ円以外は小幅上昇に留まっていた。
豪ドル円は81円台半ばから82円手前まで上昇、ユーロ円は133円近辺での取引が続いた。
鳩山首相は2次補正予算の本日の閣議決定を見送り来週に持ち越したが、円相場は反応薄だった。
欧州株も米雇用統計の発表を控えて見送りムード。
ユーロドルは序盤に1.51手前まで上昇したが、1.50台半ばへと戻している。
ユーロポンド安の影響で方向性が見出せない状況だった。
カナダ雇用者数が7.91万人増と予想外の強い結果となり、カナダ買いが強まった。
ドルカナダは1.05台前半から1.04台後半へと下げた。
NY市場では、強い米雇用統計を受けてドルが全面高となった。
非農業部門雇用者数は1.1万人減で市場予想の12.5万人減よりも大幅に縮小した。
ドル買い戻しを背景に金を中心とした貴金属や非鉄の価格が下落し米株式市場は伸び悩んだものの、ドル円の上昇にサポートされクロス円も堅調に推移した。
ドル円は88.30辺りから90.77レベルまで急伸。ユーロ円は133円ちょうど付近から134.57辺りまで、ポンド円は147.35辺りから149円ちょうど付近まで上昇した。
ユーロドルは1.5077辺りから1.4821辺りまでドルショートカバーが優勢。
ポンドドルは1.6670辺りから1.6422辺りまで下落した。
ドルカナダは1.0433辺りから1.0596辺りへ反発。
NY朝方は強いカナダ雇用統計を受けてカナダ買いが優勢だったものの、
米雇用統計発表後は値動きが反転した。弱いカナダIvey購買担当者景況感指数もドル高・カナダ安を後押しした。
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