「投資を成功させるためには良い企業の株を、その企業の真の価値よりも大きく下回った市場価格で取引されているときに購入することだ」
バフェットの投資原則
昔の例で、且つ投資とは関係ありませんが、一例を。
幕末のころ、反新政府の藩は近代装備の政府軍(要するに銃の性能がはるかに優れていた)に対抗するために、「西洋銃」を買うことにしました。しかしその頃は、銃の画期的な発明があった時代で、すぐに新しい銃が古くなる状況で、反政府の藩が買った西洋銃は、火縄銃に毛が生えた程度の銃でした。
つまり、古くなって、西洋諸国では見向きも去れない銃を買っていたのです。
日本にアメリカで型遅れになった投資手法が持ち込まれてもおかしくないって事ですね。
後半部分は、周辺知識として読めばいいかと思います。それでは前半部分のエッセンスです。
「投資を成功させるためには良い企業の株を、その企業の真の価値よりも大きく下回った市場価格で取引されているときに購入することだ」
この1文はバフェットの師である、ベンジャミン・グレアムのアドバイスです。
これに、バフエットのスパイスを付け加えるならば、そうして購入した株を「持ち続ける。」ということになります。
なぜ持ち続けるか?
バフェットは、企業経営者の観点から株式を見ています。
つまり、あなたが事業の経営者であって、卓越した経済状態の子会社を、なぜ売らねばならないのか?自分が良く知っている優良な子会社を売り払って、なぜ自分のよくわからない事業を営む会社を(一部)買わねばならないのか?ということになります。
ベンの文章に戻りましょう。
市場価格は、躁鬱な「ミスターマーケット」を紹介し、良い企業の株価が売り払われ安くなることがある、ということを「効率的市場理論」を批判しつつ展開します。この『教義』のおかげで、ウチは儲かるのだ、と言い切ります。
実際、バフェットは分散投資、バリュー投資という概念(様々な使われ方をしますが。)にこだわることなく、彼が「良い」と思う、企業の株式を購入することで財をなしてきました。
株式を購入する、つまり、投資家のリスク計算をバフェットはこの章でこう概括しています。
1、企業の長期的経済特性を評価できるという確信。 →つまり、その企業がよくわからないのなら買うな、わからないのならリスクだ。
2、経営者を評価できるという確信。 →つまり、企業の業績は経営者に多くがかかっている。経営者がどのような人間なのか、を知るべきである。自分の娘の旦那にできるかどうか?くらいまでに。
あのコカコーラでさえも、経営者の問題で大きく傾いた時がある。後、ゴイズエタという経営者を迎え、復活を成し遂げたのであるのだから。
3、事業で得た利益を、自分の利益より優先して株主に還元するという点で、信頼の置ける経営者である確信。 →留保された利益がどのように使われているか、自社株買いを含めて、検討しているか。
4、企業の買い付け価格 →安くならなければならない。
5、予想されるインフレ率、税率を引いた形での収益率。 →高い利益率を誇って良いても、インフレで底上げされていたり、税で収益が下がるのを見込んだ額での収益の度合い。
(すいません、米の税金関連はヨクワカリマセン。バフェットが何税について指してこれを述べているのかサッポリです。)
また、時間のない方は、E「賢明な投資」に目をとうすだけでも、彼の投資方法が何たるかがわかるように思います。
その他
バフェット特有のウィットの聞いた比喩、「誰がカモなのかわからなければ、自分がカモなのである。」や「ハンドルに短剣をつけたドライブ」が笑えます。
「企業的責務」とよぶレミングスのような集団行動についてや、バークシャーの保守的な財務政策、(借り入れをして投資額をふやせば、もっと利益を上げれた、)などが非常に面白く読めると思います。
バフェットの手紙は「事業経営」にも示唆の富んだ内容だと思います。
実際、事業をやっていると、「借り入れ」のレバリッジを考えない経営者はいません。
また、全米一の投資家という帯がこの本についていますが、彼がどのような失敗をしてきたか、についても書かれているので、なるほどなぁ、と考えてしまいます。
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