「友達の友達の、そのまた知り合いにまでも営業しましたよ」 大手生命保険会社入社3年目のS・Tさん(24)は、大学OBが数人しか在籍していない大手金融に入社が決まり、得意満面だった。親兄弟も「自慢の息子」と大喜び。しかし、その喜びもほんの一瞬のこと。すぐに現実の厳しさを思い知らされることとなる。大学のラグビー部で鍛え上げたゴリマッチョな身体をスーツに包み、いささか窮屈そうな面持ちで、彼は驚愕の真実を語り始めた。 ◇ 僕ら、「体育会系枠採用」は、所詮「コマ」なんですよね。自分の身内や友達にひと通り商品を売り終えたら、そこで使い捨て。後に残された道は、数年で見切りをつけて辞めるか、もしくは営業数字をひたすら伸ばし続けるかの2つに1つ。キャリアアップなんて無縁の採用なんです。 最初は何で僕みたいな三流大学の人間が入社できたのか不思議だったんですが、僕が入社した2007年は、団塊の世代が大量に退職した年。極度の人材不足で会社も、大量採用せざるを得なかったんです。僕は学生時代には体育会のラグビー一筋だったんですが、部のOB数人がたまたまバブル採用の時期にもぐりこんでいて。そこから声がかかって、とんとん拍子に内定をもらえたという訳です。 仕事は、ただひたすらにウチの生命保険の商品を売るだけです。まずは「とにかく自分の身内や友達に売りまくれ!」って、上司にどやしつけられました。親兄弟はもちろん、友達、友達の友達にまで、売り続けましたよ。そんなこんなで入社1年目はなんとかノルマを達成できたんですが、困ったのが2年目です。 なにしろもう知り合い全てに営業していますから、これ以上僕自身の人脈では売れなくなってしまったんです。上司が本性を見せたのはそれからですね。「お前みたいな、脳みそまで筋肉でできている奴は頭を使っても無駄だ。とにかく足で稼げ。売れる知り合いがいなくなったんなら、一軒一軒、飛び込み営業しろ。体育会出身なら、それくらいの根性があるだろう? 1日最低でも50戸には営業するんだ。それができるまで帰って来るな!」ですよ。でも僕は本来、極度の人見知りで、知らない人と話すのが苦手なんです。思い余って、OBに相談しました。しかし考えが甘かったですね。「お前、友達の友達のその友達にまで営業したのか!」と逆に説教を食らう始末です。 でもまあそのアドバイスをがむしゃらに実行して、なんとか去年の上期まではしのぎました。ところがそこに、例のリーマン・ショックが直撃。 あれでもう、それ以降の営業数字は未達の連続です。去年から歩合の割合の方が多くなった給料も、大幅ダウンですよ。 今はもう会社に行くのが辛くてしょうがないです。でも転職なんて、おいそれとできないご時世じゃないですか。本当にもう、どうしていいか分からないですよ。■恵比須半蔵(えびす・はんぞう) (株)セミ・ラティスに勤務する就職アドバイザー。著書は「就職先はブラック企業」(彩図社)など
via FXGirls
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投稿情報: 競馬予想 | 2009年12 月25日 (金曜日) 午後 08時48分