前場の東京株式市場で日経平均は大幅反発した。ドバイ問題で懸念された米株価が前週末の取引で反落しながらも下げ渋ったことや、外為市場で前週14年ぶりの円高水準となったドル/円が86円後半と円安に振れていることから、大きく売られていた不動産や金融、機械など主力株を国内投信や個人投資家が買い戻したと観測されている。
日経平均は9300円付近に上昇しているが、引き続き為替にらみの展開とみられ、市場参加者は目先の相場については慎重な見方を示す。
前場の東証1部騰落数は値上がり1381銘柄に対して値下がり224銘柄、変わらずが77銘柄だった。東証1部の売買代金は前週末5725億円より薄く5468億円にとどまった。
前週末は安全資産を買う動きが後退したとの見方から米株価が下げ渋る展開となった。
27日はダウ工業株30種が1.48%安、ナスダック総合指数は1.73%安、S&P総合500種は2.10%安。足元でドバイの資金繰り危機が明らかになり、リスク回避の動きが金融市場に広がっていたが、週明け東京市場ではその反動で大きく切り返した。
前場の取引では、9000円付近では個人投資家を中心に押し目買い意欲が強いとみられている。大手証券の株式トレーダーは、国内投信による主力株の買い戻しと観測する。
市場では「海外勢の動きは鈍いが、年金筋などが足元で株のウエートを高める動きが見られるため、株式市場には目先長期資金が流入するのではないか」(大手証券の別のトレーダー)との見方も出ている。
日経平均の予想変動率(インプライド・ボラティリティ)も上昇した。日経225オプション12月物のストライク価格9250円のコールが27%台で推移しており、買い方向の動意が指摘される。
ただ、市場参加者はなお慎重姿勢だ。日興コーディアル証券シニアストラテジストの河田剛氏は、大幅反発について「前週14年ぶりの円高水準となったドル/円がやや円安方向に振れているというだけなので、あす以降どうなるのか視界は依然として不良だ。27日の米株価は下げ渋ったが、短縮取引だったため、正当な評価はきょう以降とみている」という。また、近く開かれる首相と日銀総裁の会談で「何もなければ為替は行くところまで行く」として、再び85円を下回る円高が進行した場合、9000円を割り込む可能性を指摘する。
前場は不動産や金融、機械をはじめ幅広い買いが入った。指数の寄与度が高い武田薬品工業は底堅い値動き。国内証券の株式トレーダーによると、「配当利回りからみても割安感が出ており、投資家からの問い合わせが多い」と話している。武田薬品が2011年以降、米国で医療用医薬品を相次いで売り出すと報じられたことも支援材料とみられている。
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